今回は日本画や油絵のキャンバスサイズについてお話したいと思います。
そして、初めて絵を描く人に向けて私のオススメのキャンバスサイズもご紹介します。
もくじ
キャンバスサイズの確認方法
キャンバスはコピー用紙やノートと同じ
ように規格のサイズがあります。
もし家に購入した絵画があったり祖父母の家に
絵画がある場合メジャーで測る以外にも
作品の大きさを知る方法があります。
それはキャンバスの裏を見ることです。
キャンバスの木枠に
アルファベットと数字の組み合わせで
サイズが印字されています。
木製のパネルは
パネルの側面にあることが多いです。
日本画や水彩画などパネルに和紙を
貼っている場合は側面が隠れて印字
されたサイズを確認できないことがあります。
アルファベットの意味
キャンバスサイズは
アルファベットと数字が組み合わさって
表示されています。
F0 P6 M10 S40
この様に表示されていますがこのFやPは一体何でしょうか?
簡単に説明するとA4のAのような感じです。
アルファベットの持つそれぞれの意味は
- S(Square 正方形)
- F(Figura 人物)
- P(Paysage 風景)
- M(Marine 海景)
S→F→P→Mの順で細長い長方形に
なっていきます。
Mが最も細い長方形です。
Fは人物画を描くのに適しているから
人物はFで描くべきというもの
というわけではなくサイズ名の由来
というだけですので自分の描きたいものの
構成に合わせて選ぶと良いです。
コピー用紙などのA4やB5は数字が
大きくなるほど用紙のサイズが小さくなりますが
キャンバスは
数字が大きくなるほど
画面の大きさは大きくなります。
F4よりF6の方が大きいということですね。
絵画の世界ではこの寸法が主流です。
サイズ表について
様々な画材屋さんやメーカーがサイズ表を
作っているので絵を描くときは
発表場所や目的(公募展とか)を
考慮して見てみましょう。
号数 Fサイズ Pサイズ Mサイズ Sサイズ (人物) (風景) (海景) (正方形) 0号 180×140 1号 220×160 220×140 220×120 220×220 SM 227×158 2号 240×190 240×160 240×140 240×240 3号 273×220 273×190 273×160 273×273 4号 333×242 333×220 333×190 333×333 6号 410×318 410×273 410×242 410×410 8号 455×380 455×333 455×273 455×455 10号 530×455 530×410 530×333 530×530 12号 606×500 606×455 606×410 606×606 15号 652×530 652×500 652×455 652×652 20号 727×606 727×530 727×500 727×727 25号 803×652 803×606 803×530 803×803 30号 910×727 910×652 910×606 910×910 40号 1,000×803 1,000×727 1,000×652 1,000×1,000 50号 1,167×910 1,167×803 1,167×727 1,167×1,167 60号 1,303×970 1,303×894 1,303×803 1,303×1,303 80号 1,455×1,120 1,455×970 1,455×894 1,455×1,455 100号 1,620×1,303 1,620×1,120 1,620×970 1,620×1,620 120号 1,940×1,303 1,940×1,120 1,940×970 1,940×1,940 130号 1,940×1,620 150号 2,273×1,818 2,273×1,620 2,273×1,455 2,273×2,273 200号 2,590×1,940 2,590×1,818 2,590×1,620 2,590×2,590 300号 2,910×2,182 2,910×1,970 2,910×1,818 2,910×2,910 500号 3,333×2,485 3,333×2,182 3,333×1,970 3,333×3,333
サイズ表の使いどころ
作品を作り始める際の目安や、
展覧会で作品を展示する時に使います。
例えばグループ展で一人あたりの壁面が
幅2mだとして、
どのサイズが何枚壁に掛けられるかの
シミュレーションに役立ちます。
すぐに検索できるようにしておくといいですよ。
サイズの規則
キャンバスサイズの規則についての解説です。
まずは長方形のサイズから
例として6号を見てみましょう。
F6号は41.0×31.8cm
P6号は41.0×27.3cm
M6号は41.0×24.2cm
このように
長辺は同じ長さで
短辺の長さが変わっていきます。
Sサイズの場合は
S6号は41.0×41.0cm
このように長辺の長さによって構成されています。
では
同じFサイズなら縦横の比率が必ず必ず同じか?
となると実は違います。
F6号は41.0×31.8cmですが
F10号は53.0×45.5cmです。
F10号がF6号を同じ比率で拡大しただけであれば
F10号は53.0×41.1cmとなるはずです。
F100号は162.0×130.3cmなのに対し
F120号は194.0×130.3cmとなっており
短辺の長さが同じです。
PやMサイズにも同様のことがいえます。
Fサイズで作品を描こうとしても大きさが
変わることで微妙に比率が
変わってくるので注意しましょう。
号数は0号から始まり
大きいものは100号や200号などとありますが、
21号や9号というサイズは売っていません。
SM?SSM?例外のサイズ表記について
FやMの他にも
SMやSSM、WSM、WF3、WF6
などのサイズもあります。
SMはサムホールと呼ばれ、
F0号よりも大きくF3号より小さいです。
F0号よりも細長い印象のサイズです。
サムホールとはスケッチ箱に収納して
持ち歩けるスケッチ板や小型のスケッチ箱の底に
親指を入れて片手で支えられるように
作られた道具から来ている名前です。
親指の穴=サムホールと呼ばれるようになりました。
これは日本の画材店が考案した名称であるため和製英語です。
- SSM(スクエアサムホール)SMの長辺からできた正方形。
- WSM(ダブルサムホール)SMを縦に2枚繋げた長方形。
- WF3はF3号を縦に2枚繋げた長方形。
- WF6はF6号を縦に2枚繋げた長方形。
サムホールは
サムホール専門の公募展やグループ展も
開催されているので小さいながら
使い勝手の良いサイズでもあります。
どのサイズを選んで絵を描くべきか
では、
いざ絵を描こうと思った時
どんなサイズを選べば良いのでしょうか?
もちろん自分の描きたい大きさや形で
描くのが一番ですが、
これまで10年間、様々な場面で絵を
描いてきてサイズによって困ったことや
思ったことを元に私なりのオススメを紹介したいと思います。
形に関してのオススメ
私はどの形も使用したことがありますが
最近はFとMが多いです。
その中でも私のオススメはFです。
Fは一番オーソドックスな形で
何のひねりもないじゃないか!と思う方も
いらっしゃるかもしれませんが
オーソドックスだからこそ
一番を選ぶならFですね。
もう少し詳しく解説します。
F(Figura)
普段、A4やA3などの用紙に
慣れていると正方形より長方形の形の方が
構図のイメージが作りやすいです。
細長すぎない形でモチーフの全体が画面に
収まりやすく、
ある程度余白もとりやすいと思います。
S F P Mの形の中では
Fの額は一番種類が多いです。
私は百貨店で
作品を発表する機会が多いので、
作品には額が必要になります。
油絵や日本画用の額は廃盤になってしまい、
お気に入りのデザインの額が
無くなってしまうこともあります。
なかには、
Fサイズの取り扱いのみで
PやMサイズの額が無いデザインもあります。
額装によって絵の印象は大きく変わってしまう
ので額選びはとても重要な要素になります。
絵と額がマッチしていると
作品に違和感を覚えず、額装することで
絵がより引き立ちますが
絵と額がマッチしていないと
額と絵の境目が気になったり、
額の色が浮いて見えたりします。
オーダーメイドで額を作るのであれば
この問題は解決しますが、
作家の場合、展覧会の前に何枚も
額装しなければならないので
料金が高くなってしまいます。
近くに額屋さんが無いと
直接絵と額のフレームサンプルを合わせて
額のデザインを決めることが出来ないので
その点でも大変だと思います。
M(Marine)
2番目はMです。
細長い形なので日本画や掛け軸のような
余白を作りたい時に使用しやすいと思います。
F6号を横構図で考えていたけれど
もっと横に余白が欲しい場合に
M10号を横構図にして使用するなどします。
Fに比べると随分と細身の印象になるので
並べて展示したときにメリハリが出ます。
S(Square)
Sは正方形なので部屋に飾った場合、
現代的でスタイリッシュな
インテリア的な印象を与えることが出来ます。
インスタグラムの基本画像も正方形なので
描き手もおしゃれなイメージを持ちやすいかもしれません。
ただ、既存の額縁が少ないので額装まで
考えると少し大変なのでオススメ度は低くなります。
P(Paysage)
FとMの間のサイズのため
個人的には
ピンポイントでこの幅でなければダメ!
という場合以外は選ぶことが少ないです。
長方形を使用するなら
FかPのどちらかを好みで選べば良いかなと思います。
額装のしやすさを考えて私はFが多いです。
そのため
少し細身の長方形が良い方は
FよりPを選んでください。
大きさに関するオススメ
初めて絵の具で絵を描く人は
4号か6号サイズがオススメだと思います。
普段、
見慣れているA4サイズが29.7×21cm
なので
F4号だと33.3×24.2cmで
大きさが近いためです。
アクリル絵の具で描く場合は
水を使って絵を描くということもあって
油絵の具より絵の具が柔らかく、
初めての人でも扱いやすいので
F4でも大丈夫だと思いますが、
油絵の具を初めて使う人には
油絵の具は絵の具自体が
アクリル絵の具より固めで、
もってりした感触があるので
細かく描きづらいと思います。
そのため、F4号より少し大きいF6号が
筆のストロークが大きくなるので描きやすいと思います。
F6号(41×31.8cm)は
A3サイズ(42.7×29.7cm)に近いです。
A3サイズに絵を描くと思うと
少し大きいかな
と思うかもしれませんが、
鉛筆で絵を描くことと違い、
絵の具と筆で絵を描くので
描き始めると思った以上にキャンバスが塗りつぶせます。
描きかけの作品を保管する場所がない、
描き味を試すところからスタートしたい
という方はSMサイズから始めてもいいと思います。
F0号とSMサイズは近い大きさです。
SMの方が少し細身の長方形をしています。
0号には
P0号やM0号が無いので
最小のキャンバスから選ぶには
F0号か少し細身のSMから選ぶことになります。
オリジナルサイズに挑戦する
説明してきましたが、
少し番外編としてオリジナルサイズの
キャンバスという方法もご紹介します。
キャンバス自体を絵の形にしたい
もっと小さいサイズで描きたい
という方は自作してみてはいかがでしょうか?
しかし、オリジナルの木枠を自作して、
そこにキャンバス地を張ることも
一つの方法ですが
強度のしっかりした木枠や、
描画面の反らない木枠を作るのは難しいです。
そのため、
比較的簡単な方法は木の板に下地を作り、
そこに絵を描いていく方法です。
木の板はホームセンターで売っている
ベニヤ板をカットしてもらったり
自分で好みの形にカットします。
パネル状のものではなく
木の板そのものに描くような感じです。
木は灰汁やヤニが出ないシナベニヤを選ぶようにしましょう。
オリジナルサイズでも額装はできる
複雑な形状の板にカットした板に
絵を描いた場合も
箱額に入れることで額装ができます。
背景の額装マットに
ビスで留めることで作品を支えます。
キャンバス以外のサイズ
油絵ではあまり縁の無いことですが
木製パネルに紙を水張りして
アクリル絵の具や水彩で絵を描いた場合は
パネルから紙を外して額装することもできます。
額の厚みが薄く、軽い、
というメリットがあります。
その場合はキャンバスの○○号
という寸法とは違う
デッサン額の寸法で額装します。
図工の授業などで「八ツ切画用紙」とか聞いたことはないでしょうか?
- 吋(インチ)
- 八ツ(ヤツ)
- 太子(タイシ)
- 四ツ(ヨツ)
- 大衣(タイコロ)
- 半切(ハンセツ)
- 三々(サンサン)
- 全紙(ゼンシ)
読み方の難しいものもありますね。
サイズは以下の表のようになっています。
表記はmmです。
呼称 サイズ 用紙(額装できる作品サイズ)<マット付き額縁用> インチ 255×204 F2(240×190)・A5(210×148)サイズまで 八ツ切 303×242 F3(273×220)・A4(297×210)サイズまで 太子 378×288 F4(333×242)・B4(364×257)サイズまで 四ツ切 424×348 F5(352×273)・A3(420×297)サイズまで 大衣 509×394 F8(455×380)・A3(420×297)サイズまで 半切 545×424 F8(455×380)・B3(515×364)サイズまで 三々 606×454 F10(530×455)・A2(594×420)サイズまで 全紙 727×545 F15(652×530)・B2(728×515)サイズまで
まとめ
サイズを決めるためには描きたい大きさ、形はもちろん重要ですが展示場所や額もサイズを決める際に必要な要素となってきます。 描いた後のことも具体的に想像するとどんなキャンバスで描こうか迷った時のヒントになると思います。