描く必要無い?プーさんから考える絵画の存在理由【絵を飾る】

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今回のお話では映画の内容にも触れているので

ネタバレが気になるという方は閲覧に注意してください。

絵が直接生活の中で役に立つわけでは無いのに

なぜ絵を描くのか、なぜ絵を購入するのかを映画をヒントに画家の視点で考えます。

「プーと大人になった僕」という実写版プーさんの映画の紹介も含まれています。

 

絵は必要?それとも不要な物?

趣味で絵を描いている人

仕事として絵を描いている人

もしくはこれから絵を描こうと

絵の道を志している人

 

「絵は生活に必要ない」

「生きる上では不要なものだ」

絵を描いている人の多くが

そう思ったり周囲の人から言われたことがあるのではないでしょうか。

 

それでも絵が好きだから

絵を描きたいから

という思いで絵と向き合っていると思います。

 

自分では絵を描かないけれど 

絵が好きで何枚も作品を購入している

コレクターの方もいると思います。

 

しかし家族は絵に興味がなく

「こんなに絵を買ってどうするの」と 

反対されてしまう場合もあるかと思います。 

 

たまのお休みにちょっと絵を描く

新しい家に引っ越したから玄関に飾る絵を一枚だけ購入する

 

ほんのわずかなことであれば

「とても良い趣味ですね」

と言う人は多いですが

 

その世界にどんどんのめりこんでいくほど

周囲の人に理解されなくなってくる場合があります。 

 

好きなことをする

欲しいものを買う

 

どちらも 周囲の人に反対されがちなことだと思います。

 

 

絵を描く人が持つ不安

絵を描いていると

作品の数がだんだん増えていきます。

 

自宅で絵を描いていると

置き場所に困ってくることと思います。

 

公募展に出品するような大きな作品

壁に立てかけて

毎年1枚ずつ増えていくことで

壁が迫ってくるように感じることもあります。 

 

絵を販売すると自宅から作品はなくなりますが

人の手に渡らない場合は

どんどん家に溜まっていきます。 

 

作品は第三者の人の手に渡るとその家で大切にしてもらえますが

自宅に自分の作品があると

作者の死後はそのまま捨てられてしまう可能性が高いです。

 

もちろん第三者の人の手に渡っても

購入した方が亡くなられた場合

遺族が絵に興味がない場合はその作品を捨てられてしまうこともあります。 

 

自宅に絵がたくさん溜まってくると

家族に邪魔に思われたり

子育てや仕事をしていると

そんなことをしていないでもっと家の事や仕事をやってよ

と言われてしまったりもします。

 

絵なんて描いていてもしょうがないでしょ

と思う人の気持ちもわかります。

 

確かに絵でお腹が膨らむわけではないし

もしタダでもらえるなら

絵をもらうよりティッシュやトイレットペーパーをもらった方が役に立つ

という考え方も分かります。

 

その言葉で絵を描く人は絵を描いてはいけない

やめなければならないと感じてしまいます。 

 

しかしその考えが本当に

一番正しいことなのでしょうか

 

絵画は本当に不必要なものなのでしょうか

 

絵を描くことの意味は様々な人たちが多くの角度から考えていることですが

今回は映画 「プーと大人になった僕」から考えたことをお話ししたいと思います。

 

絵を見ることが好きな人の気持ち

 

私は作家の立場なので

コレクターさんの気持ちは推し量るほかありませんが

展覧会などでコレクターさんとお話ししたことをもとに考えてみました。 

 

たくさん絵を見るのが楽しみだという人は

東京、大阪、京都、名古屋など

ギャラリーがたくさんある地域では

美術館だけでなく

ギャラリー巡りをすることがあります。

 

ギャラリーでは一週間ごとに展覧会が変わるので 

毎週新しい作品を鑑賞したり

新しい作家さんに出会ったり

何年も作品を見続けている馴染みの作家さんの変化を楽しんだりします。 

 

作品との出会いは一期一会です。

アート作品は一点物の場合が多く、 

自分のお気に入りの作品と出会っても

他の人がその作品を買ってしまった場合、 

二度とお目にかかれないという場合もあります。

 

そのためどうしても気に入った

という作品は購入する方が多いです。

そしてたくさんのお気に入りの作品に

囲まれて生活しているコレクターさんがたくさんいます。

 

しかし人によっては

作品が増えることで奥さんに反対されたり

高額な絵画の購入を息子さん夫婦に反対されて 

悩まれる方もいらっしゃいます。

 

そうすると絵を鑑賞するのが好きな人も

やはり絵は必要ないものなのかなと感じてしまいます。

 

それが一番正しいこととして受け入れるべきなのでしょうか?

ではそのモヤモヤの答えを探っていきましょう。

 

実写版映画 くまのプーさんとは

2018年に公開された映画 

「プーと大人になった僕」 

ディズニーの人気キャラクターである

くまのプーさんを実写化した映画です 。

 

あらすじ

成長したクリストファー・ロビンが 

プーさん達と遊んでいた場所を離れ

やがて学校を卒業し大人になっていきます。

就職したクリストファー・ロビンは結婚し子供に恵まれ

大人としての忙しい生活を過ごしていきます。

 

ある時

大人としての大変な生活の中で忘れていたプーさんと

再会を果たします。

プーさんと再会したクリストファー・ロビンは子供の頃のような純粋さはなく

仕事に追われイライラしていました。

 

昔と変わらないプーさん大人になったクリストファー・ロビン

 

大人がこの映画を見ると忙しい中で

プーさんの言動に思わずイライラしてしまうクリストファー・ロビンの気持ちがよく分かると思います。

 

忙しい大人純粋な子供 

劇中で出てくるどちらの言葉も胸に刺さります。

 

 

忙しさの中で忘れていった子供の心

大人になった今でも大切にしたい事

考えさせてくれる映画になっています。

 

日本語吹き替え版ではクリストファー・ロビン役が 

ドラマ「半沢直樹」でおなじみの堺雅人さんです。

個人的には仕事を頑張るお父さんという役で 

似合っていると思いました。

 

画家として心に響いたシーン

ここから少しネタばれを含みますが

私が気になったシーン

再会したクリストファー・ロビンが

100エーカーの森へプーさんを帰すため

かつて過ごしたサセックスの家に汽車に乗って向かっていくシーンです。

人混みをかき分けてプーさんを抱えたまま汽車に乗ろうとします。

するとプーさんは風船を売っている人を見て風船が欲しいと言います。

その時クリストファー・ロビンは

「何に使うんだと言います。

それに対してプーさんは

「何にも使わないけどとっても欲しいんだ。」

と言います 。

 

その後

風船の紐を汽車のドアに挟んでしまい手放してしまうのですが

「どうせ使わないだろ」

というクリストファー・ロビンの言葉に対し

「でも持ってると幸せだった。君はどう?」

と問いかけます。

この時クリストファー・ロビンにはプーさんの問いかけが心に響きませんでしたが

この一連のやり取りに私は絵にも言えることだなと思い

プーさんの言葉は深いと思いました。

 

 

持っていると幸せになれる

 

 

この風船は劇中の中で何度か出てきます。

ストーリーが進行していく上でとても重要なアイテムというわけではありませんが 

幸せのありか何に対して幸せに感じるかなど

幸せに対する価値観の違いを表すアイテムだと思いました。

 

風船は必要ない大人にとっては

持っていても意味のないもので幸せの象徴ではありませんが

プーさんにとっては風船を持つことで幸せを感じる意味のあるものなのです。

 

これはまさに絵に置き換えて考えると

絵を持っていると幸せになれる

絵を見ていると幸せになれる

絵を描いていると幸せになれる

と感じる人がいるということだと思います 。

 

 

プーさんの映画から学んだこと

絵を描いていると 

絵を描くことの意味

絵画の存在理由を考えてしまうことがあります。

 

お腹が満たされることもなく

日常生活の中で具体的に役に立つものでもない 

そんなことを一生懸命やっていていいのだろうか?

 

それが一般論として正しいことなのではないかと感じることもありました 。

 

しかしこの映画を見て

その一般論が一方的に正しいものではないと思いました。

 

絵に興味が無い人に幸せを届けることはできないかもしれませんが 

絵を描くことで 

絵を求めている人に対して幸せを運ぶことができると思いました。

 

人が何に幸せを感じるかは人それぞれです。

人によっては 本は電子書籍で十分

紙の本に価値はないという人もいると思いますが

 

ページをめくりたい

本という形自体に意味がある という

本の形をしていることに価値を感じる人や

本棚に並んでいる様子が好きという人にとっては

たとえかさばったとしても電子書籍では駄目だという人もいると思います。 

 

どちらも何に価値を見出すかの違いであって

どちらが正しいというものではないと思います。

 

たとえ電子書籍がメジャーになったとしても

どうしても紙の本がいいという人はいると思います。

 

どちらが良いと言う話ではなく

個人の好みの問題なので

どちらか片方が間違っている

良くない

というわけではありません。

 

両者の間で納得のいく着地点にたどり着けると良いですね。

 

絵は描き続けていいし

鑑賞し続けて良いものなのです。

 

 

まとめ

今回は映画「プーと大人になった僕」から絵について考えてみたことをまとめてみました 。

プーさんとクリストファー・ロビンの会話を聞いていると

二人の価値観の違いは私たちの生活の中でもよくあることだと思いました。

ある人にとっては大切なものも、またある人にとっては大切ではない。

それは当然のことですし、間違ったことではありません。

しかしその人にとって本当は大切なのに大切にできなくなってしまう

それはその人の幸せを見失っていることではないか

では自分にとって大切なものとは何だろう

と考えさせられる映画でした。

 

仕事で忙しく過ごしている大人

子育てに疲れた大人にこそ見てほしい映画だと思いました。

あと、個人的にはもってりしたフォルムのイーヨーが可愛いと思いました。

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