リキテックス&ターナーのファイバー系メディウムを比較【アクリル絵の具】

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リキテックスの「ブレンデッドファイバー」と

ターナー色彩株式会社の「ファイバーペースト」を使用してみてその違いをまとめてみました。

どちらも繊維系の下地を謳っていますが実際の手触りやテクスチャーは随分と違いがありました。

どこで購入できる?

私は、ファイバーペーストは世界堂で購入しましたが

ブレンデッドファイバーは置いていなかったので

こちらは東急ハンズで購入しました。

 

リキテックスのメディウムは

シリーズが多いため小さい店舗では

全ての商品は置いていない可能性があります。

 

手に入らなかった方はオンラインショップで購入してみてください。

 

店頭で選ぶ際はテクスチャーのサンプルが置いてあることがあり

質感を確認して購入することができますが

オンラインショップでは

質感の具体的な情報が乏しく違いがわからない場合があります。

 

そんな方に参考にしていただきたいと思い

出来る限り質感がお伝えできるようにこの記事を書きました。

 

リキテックス「ブレンデッドファイバー」

パッケージにはこの様に記載されています。

ブレンデッドファイバーは、ポリエチレンの繊維を含んだメディウムで単独あるいはリキテックスカラーと混ぜて使用すると繊維状の独特の下地が得られます。

ジェルメディウムを混ぜて繊維の量を調節することができます。

 

使用法

単独またはリキテックスカラーと混ぜて下地あるいは上塗りの絵の具として使用します。

上からリキテックスカラーで着色することもできます。 初めての使用・新しい使い方をする時は試してからご使用ください。

 

内容量:50ml ¥500+消費税

内容量:300ml  ¥2,000+消費税

 

 

ターナーGOLDEN ACRYLICS「ファイバーペースト」

パッケージにはこの様に記載されています。

乾燥後、透明水彩やインクに適した、吸い込みの良い水彩紙のような下地が作れます。

ナイフ等でなるべく平滑な画面に鳴らしてお使いください。

 

完全乾燥:3日以上

性質/成分:アクリル

ツヤ感:つや消し

内容量:350ml ¥1,850+消費税

 

 

実際に比較してみた

内容量金額に関してですが

ブレンデッドファイバーの方がやや高いですが

こちらは小さいサイズでも販売しているので

初めて使用する人は

小さい方で実験してみてから購入するといいと思います。

 

小さい50mlのサイズでも

4号程度の大きさのパネルであれば

塗ることができると思います。 

 

ファイバーペーストの方は大きいサイズでしか

売っていないので実験の段階でもこのサイズを購入するしかありません。

 

実験方法

今回はキャンバスパネルジェッソを塗った木の板にそれぞれの下地を塗りました。

その中でも下地の色の違いが分かりやすい

「パネル+それぞれの下地」の状態に

アクリル絵の具透明水彩絵の具油絵の具を塗りました。

 

ブレンデッドファイバーとファイバーペーストの違い

 塗りたての質感は

ブレンデッドファイバーは白っぽく

ファイバーペーストはグレー

どちらもボテッとした固めのボンドのような塗り心地でした。

 

ペインティングナイフで塗りましたが 

全くの均一に塗ることは難しかったです。

筆の跡や凹凸は付いてしまうので

既製品の和紙のような均一で真っ平らな状態を目指すのは難しかったです。

あえて凹凸を残す表現にはいいと思います。

 

乾燥するとブレンデッドファイバーは透明に近くなります。

ダマになっている部分は少し白っぽく半透明になります。

ややツヤのある表面です。

 

ブレンデッドファイバーの方が、

樹脂感が強く触り心地はなめらかです。

 

塗った後も画面にメディウムの角が尖ったような感じが残りにくいです。 

さわり心地の滑らかさを例えると

壁紙にありそうな柔らかさのテクスチャーを感じるもので、

爪で傷をつけるとが残ります。

 

 

ファイバーペーストは乾燥後も不透明で表面の触り心地は固いです。

 

ツヤは無く水彩紙のような下地と説明書にありますが

触り心地は硬いので

紙の柔らかさを持った質感とは違うと思います。

 

ブレンデッドファイバーよりザラザラした表面になります。

撫でると細かい紙やすりのようなザラザラ感にも感じました。

爪を立てても跡が残りません。

 

角が立つように塗った後も乾くとそのままの形で画面の上に残ります。

強い凹凸感を出すならファイバーペーストの方が質感を出しやすいと思いました。

 

 

アクリル絵の具を塗ってみて

絵の具の塗り心地は

ブレンデッドファイバーの方がなめらかでスムーズに塗れました。

 

不規則なにじみが発生しづらく

絵の具をコントロールしやすいです。

絵の具を濃く塗ると下地の質感を感じづらいかもしれません。

 

絵の具が乾いた後の風合いはファイバーペーストの方が和紙のような表面に似ています。 

紙とは違うので水が染み込む感覚はありません

乾燥後は絵の具の淵に色が溜まって濃くなるような感じができます。

 

透明水彩絵の具を塗ってみて

ブレンデッドファイバーは

ファイバーペースト以上に水が吸い込む感覚がないので、

水を多めに使うと画面の上に水がたまり

その水たまりの中で絵の具が混ざってしまいます。

 

そのため水を多く使うとグラデーションを作ろうとした時に

濃い方から薄い方へのコントロールがしづらいかもしれません。

 

しかし、水彩絵の具のように

水を多く使う描き方であれば

下地のわずかな凹凸感による絵の具のたまり

絵の具の淵が濃く感じられると思います。

 

ファイバーペーストは水を吸い込む感覚はありません

画面がザラザラしているため

画面の上に乗った水の中で絵の具が混ざる感覚が少ないです。

そのぶんファイバーペーストは

ひと塗りでは絵の具を塗りきれないので

ブレンデッドファイバーに比べると

何度か塗らないと画面に絵の具が乗せられません。

 

ひと塗りで塗ろうとすると細かい凹凸があるため

凹凸の隙間に絵の具が入らず白く残ってしまう部分ができます。

 

下地の白を活かした描き方が出来る水彩絵の具は

ファイバーペーストの質感を活かしやすいと思いました。

 

油絵の具を塗ってみて

油絵具はオイルがあるので

どちらも下地本来の質感よりオイルのツヤ感が勝っているように感じました。

表面の硬さの違いも絵の具を塗った後ではあまり感じませんでした。

 

不透明に絵の具を塗ると

絵の具自体のインパクトが強いため

ファイバーペーストもブレンデッドファイバーも

平らになるように意識して下地を塗った場合は

どちらも見た目の印象に差は感じられませんでした。 

 

そのため凹凸感の強さで下地を選んだ方が

表現のコントロールがしやすいと思いました。

 

私は凹凸感がわかりやすい

ファイバーペーストの方が

下地の効果が感じられると思いました。

 

 

 

まとめ

今回はブレンデッドファイバーとファイバーペーストを使ってみました。

店頭でサンプルを見ただけでは違いがわからず、

どちらも説明書きでは似たような商品なのかなと思っていましたが

実際に塗ってみて、質感も絵の具を乗せた時の塗り心地も絵の具の種類によって違って感じられたので試してみて良かったです。

これらは繊維を含んだ商品で私は絵の具の下に塗ろうかな、ぐらいにしか考えていませんでしたが、ブレンデッドファイバーはメディウム、ファイバーペーストは下地(ジェッソ)のようなイメージになりました。

どちらの下地も絵の具との相性では水を多く使った描き方の方が下地の良さが出やすいと思いました。

今回の実験では特に水彩絵の具とファイバーペーストが一番合うと思いました。

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