皆さんはデッサンと聞いてどのようなものか
イメージができますか?
今回はデッサンを学ぶことについて
どうやったら上達するのか
上達するとどうなるのかをお話ししたいと思います。
もくじ
デッサンとはどんなもの?
皆さんはデッサンと言うワードを聞いたことがあるでしょうか?
なんとなく絵のことだよね
というのは分かるかなと思います。
スケッチとの違いが
いまいちわからない
スケッチ
ドローイング
素描
デッサン
クロッキー
様々な言葉がありますが
どう違うのかわからない
という人も多いのではないでしょうか
私なりにこれらの言葉をまとめると
素描
対象のモチーフをありのままに正確に描く
鉛筆や木炭などを使用する
デッサン
対象のモチーフを正確に描く
モチーフの置かれた空間を対象にして描く
鉛筆や木炭などを使用する
スケッチ
デッサンや素描よりも素早く描く
鉛筆意外にも絵の具などを用いることがある
モチーフの構造などを知るための自分の手がかりとして後に使用するために描く
クロッキー
スケッチよりも素早く描く
形を正確に捉えるスピードを鍛える効果がある
ドローイング
絵を描くこと全ての総称
広い意味で 「描く」ということを指す
家自体のサイズや道具に制限はなく
絵の具や鉛筆以外の画材を用いることもあり 写真を撮ることや刺繍もドローイングの一つと捉えることもできる
というような感じかと思います。
今回はその中でもデッサンに関して
お話を進めていきたいと思います。
デッサンを練習するとどうなるの?
デッサンとはフランス語です。
西洋のデッサンは日本のデッサンとは違い
対象の陰影を線やハッチングなどで書き出すものです。
日本のクロッキーやスケッチに似ている絵もデッサンとされています。
日本で主に言われるデッサンは鉛筆や木炭などを使い、
写実的に輪郭線ではなく陰影を面で捉えるものを指します。
デッサンが必要だと言われる理由は
絵画の基礎技能として語られることが多いからです。
人によっては「デッサンは必要ない」とする人もいます。
本当にデッサンは必要なのでしょうか?
デッサンは独学で勉強して身に付くものなのでしょうか ?
そのあたりのお話を掘り下げていきたいと思います。
日本ではデッサンは
物を正しく目で捉えるための練習として行うことが多いです。
絵を描く人の基礎として必要なスキルでもあります。
目を使って物の形を正しく認識し
手で正しく出力する
この動作を正確に行うための練習がデッサンです。
この動作が素早く正確に行えるほど
絵を描くときに描き直しを少なくして制作することができます。
デッサンの基本が身につくまでは
およそ1000時間必要だと言われています。
1日3時間の練習を1年間(365日)続ければ1095時間になります。
美大受験を行う高校生が受験予備校で1日3時間ずつ
毎日通うことでおおよそ達成できる時間です。
美大を受験する学生は毎日予備校に通い
これをこなしていきます。
もちろん1000時間で到達できるのは
基礎なのでデッサンをより上達させようと
思う場合はもっと練習時間が必要になります。
何のために上達したいかによっては独学もあり?
私は絵の上達のためにはデッサンは
重要な要素だと考えています。
そしてデッサンは独学では難しく、
人に教わった方がいいと思っています。
絵の上達のためにデッサンが必要だと思う理由の一つは
先に述べたようにデッサンは
目を使って物の形を正しく認識して正しく出力する訓練だからです。
単純に細かく描くための指先の訓練ではなく
物の捉え方や物を見るときの思考を訓練するからです。
どこをどのような形で描写すればどのような質感が表現できるか
どの位置にモチーフを置いて描くことでどのような見え方になるか
絵を描くときには様々な事を考えます。
デッサンは思考を養う訓練でもあるのです。
上達するためにはただ闇雲に絵を書き続けるだけではいけません。
きちんと考えながら描くことで絵は上達します。
絵に対する思考を養うことでデッサンを離れて
絵の具を扱うときもその思考は役に立ちます。
もう一つの人に教わった方がいい理由は
絵は勉強と同じようにコツコツ努力するものですが勉強と違い
自分で正解と見比べて採点することができません。
勉強も正解がわからず
どこが間違っているのか分からない状態で進めても
効率が悪く、間違えて覚えてしまうことになります。
デッサンも同じです。
特に絵を描き始めたばかりの頃は
自分では全力で描けたと思っていても
実際に絵の上手い人の絵と比べてみると
形がゆがんでいたり
質感が表現できていなかったりします。
しかし、それも自分の描いた絵だけを見ているとわかりません。
絵を練習し始めた頃はどこが間違っているのか
指摘してくれる先生がいた方が良いのです。
独学でデッサンを練習するということは
正解集のついていない問題集を解くようなものです。
ただ永続的に何枚も絵を描き続けない人や
すぐに1枚だけ絵をうまく書きたいという人はこちらの記事を参考にしてみてください。
実物を見て描いた方がいいの?
写真で見て描く方がいいという人と
実物を見て描いたほうがいいという人
に分かれると思います。
確かに写真はとても便利なものなので
絵を描く際には多くの作家が資料として使用します。
しかしデッサンの練習の段階では実物を見て描いた方が
目で見て読み取る能力が成長しやすいと思います。
実物を見ながら絵を描くと
そのモチーフを描くときに必要な要素を
自分で取捨選択することが必要になってきます。
例えば
布の模様をどこまで描ききるか。
布を布らしく立体的に柔らかな質感を持って見せるためには
必ずしも目に見える模様を
全て描かなければいけない
というわけではありません。
全て描ききることで逆に
立体感を損なう場合もあります。
他のモチーフとの位置関係によっては
模様がありすぎることで
全てのモチーフが置かれている
その空間を描くことの邪魔になってしまうこともあります。
本物以上に本物らしく描くためには
描く内容の判断が必要になります。
描く部分と描かない部分を判断するということは
デフォルメする能力を育てる第一歩にもなります。
つまりはオリジナリティが育つ一つの要因でもあると思います。
空間を認識する重要性
この2本のペットボトルの間の距離が読み取れるでしょうか?
木の葉っぱの重なりや
枝と枝の距離感同じです。
構図によっては床面が見えず
さらに平面的に見えてしまいます。
モチーフの距離感は写真では
なかなか認識しづらい要素ですが
実物を見れば皆さんはそれらの距離が
どの程度離れているのかすぐに理解することができると思います。
絵を描くときはモチーフの距離感を
描けるかどうかも大切なポイントです。
単純に2本のペットボトルを同じように並べて描くだけでは
絵を見る人は2本ペットボトルがあるな
という情報が強く伝わりますが
距離を感じられるように描ければ
人はそれ以上の感想を抱きます。
それは物と物の間にある空気を描くことでもあります。
空気を描くことで空間を演出することができ
絵の中の空間をコントロールすることができます。
奥行き感のある画面構成や
立体感のある表現には
距離感を描けるかどうかが大切になってきます。
その能力を養うためにも
実物を見るということは大切になってきます。
「デッサンが必要」は「数学が必要」と同じ
これまでデッサンが必要である
という理由をお話ししてきましたが
リアルに絵を描きたいわけじゃないから
必要ないと思う人もいるかもしれません。
そこで
デッサンが上達するとは
どういうことなのかをお話ししたいと思います。
デッサンが必要派の人も
デッサンは必要ない派の人もいると思いますが
私はデッサンが必要というのは
「数学が必要だから勉強した方がいいよ」
という話に似ていると思います。
数学ができなくても日常生活には
困らないと思う人は多いと思います。
四則演算以外の計算をする機会は
社会人になると少ないと思います。
しかし数学がなぜ必要かと言うと
諸説ありますが四則演算以外にも
数学を学ぶ上で得る論理的思考が役に立つからです。
他にも様々ありますが
どれも数学の公式が
生活に直接役に立つわけではありません。
あくまでも数学的な考え方が役に立つのです。
デッサンもこれと同じだと思います。
デッサンによって身についた考え方が役に立つのです。
もちろん計算が早い方が
お会計の時に役に立つように
絵を描く能力も素早く描けるようになれば
瞬間的に描けるようになる
という物理的な効果もあるでしょう。
しかし物理的な効果以外の所に隠れているものこそ役に立つのだと思います。
漫画やイラストを描く人は
リアルな絵を描くわけではないから
必要ないと思うかもしれませんが
デッサンによる考え方は
デフォルメが必要な絵にも応用できるものだと思います。
まとめ
デッサンもつき詰めようとするとかなり奥深いものです。
どこまで行っても完璧ということはなく 上を目指せば目指すほど限りないものだと分かると思います。
デッサンの練習で身につくものは細かく絵を描く技術だけではありません。
質感、空間、構図など様々な要素を自分で認識し選択していく考え方が身に付きます。
モチーフを見る目の能力
分析する能力
それらを手で出力する能力
これらの能力が育っていきます。
技術と自分の認識を育てることなので
とても時間のかかるものですが
一度身についてしまえば簡単に忘れる能力ではないと思います。